2011年5月28日土曜日

掃晴娘

祈りは小さな痛みをともなう

それは誰か大切な人のことを想うから

生きることが小さな痛みをともなうから

もどかしさに心さわぐかもしれない

取り戻せない時を責めるかもしれない

だけど その痛みは

想い人の のびやかなほほえみや

交わされる柔らかな言葉で

きっと消えてしまうのだね

あした天気になあれ

あなたの心が晴れやかでありますように

2011年5月23日月曜日

何故あなただったのだろう

何故あなただったのだろう

誰かが何度も問いかけている 

何故あなたが逝ってしまったのだろう

誰もが何万回も問いかけている

答えはみつかるのだろうか

神様の言葉や図書館の暗がりに

あるのだかどうだかあやふやだ

たいがいはそのまま時を過ごすのだね

でも確かにわかることだってある

ほかの誰でもないあなたで良かったと

あなたと過ごすことができて良かったと

それは不思議と心に落ちる

だからこそきちんとお別れをしよう

ありがとうをきちんと伝えよう

神様のスパイス

今日は特別な日だと思うの
誰かがスパイスを使いこなすような

カルダモン コリアンダ ターメリック

適切な量とタイミングなのね
生まれたのがこの日でなければ
あなたと私は出会わなかったかもよ

クローブ パプリカ セロリ

たぶん神様のスパイスなのよ
おごそかなレシピがあって
あなたと私が出会ったってこと

サフラン タイム フェンネル

神様だって全部覚えていないから
ちょっとだけ私が腕をふるうわ
つまり人生のレシピね

ナツメグ ジンジャ シナモン

最後の 最後のお別れの日に
あなたに言わせたいの
ありがとう おいしかったって

オレガノ クミン バジル 

今日は特別な日だと思うの
神様がスパイスを使いこなすような

2011年5月14日土曜日

足りないもの

 
足りないものと足りているものの
境目はどこにあるのかあいまいだけど

足りないものと足りているものの
ほんのささいな違いはむしろ楽しい

それでもあなたのことは いつだって気がかりだ

伝えていないことがないか確かめたくなる
守るべき秘密を数えるくらい慎重にね

思い煩うことがないのか確かめたくなる
それは人生の天秤にかけてどれほどの重さだろう

そうだよあなたのことは いつだって気がかりだ

あなたと私の距離を測りながら
その間を繋ぐ言葉があふれていることを望むよ

あなたの居ない日々を想像するのは難しい
あなたが生まれる前のことを想像するくらいにね

足りないものと足りているものを
時々そうやって確かめることにするよ