2010年8月10日火曜日
NAGASAKI
腹の中にプルトニウムを抱え
太った男が空から降りてきた
その毒をぶちまけることで
失われたものは何でしょう
ささやかでつつましい幸せだとか
誰の 多分たくさんの人の
坂と海の街のおだやかな風景とか
そこにあった とりもどせないままの
未来に向かう子供たちの笑顔であるとか
この子の そしてあの子たちの
ささやくように秘められた想いだとか
恋人たちの 断ち切られた絆の
交わされた約束や言葉であるとか
こんにちはまた後で 果たされないままの
手の届かないほどに 愛おしく思われるすべてのもの
失われたものは 失われたままの
太った男に 哀しみはなかったのかしら
そこには 怒りでさえなかったのかしら
夕食の買い物のように 品定めされ
選ばれただけなのかしら この街は
怒りは 突き抜けてしまうと
とても 哀しく 痛むのに
いつまでも 哀しく 痛むのに
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