2012年3月21日水曜日
2012年1月2日月曜日
君の揺りかご
君をいとおしむ思いを隠しようもなくさらけだす母
戸惑いながらも君のすべてを引き受けようとする父
あなたを愛する人々の気持ちはやさしく君の心に転写される
そういった心の仕組みがあることを僕らは知っているけれど
あらかじめ定められた決まりごとではなく
君の柔らかな皮膚をとおしてそのことを新鮮に体験する
やがて君は少しずつ身の回りのことから聴き分けて
この世界が傷つきやすいことを手探りで理解するだろう
がれきの街の光景をこの国の記憶として
目にするのはしばらく後になるにしても
君は痛みの気持ちでそれを受け止めることになる
愛はその準備のための揺りかごなのだよ
2011年11月24日木曜日
2011年10月15日土曜日
カフェ 昭和編
このカフェの噂には
ささやきとほほえみが寄り添う
読まれたがる本たちが
ドアを開けて読み手を誘い
マダムと食材のおしゃべりが
奥のキッチンから遠慮がちに響く
ギロチンの音に振り返ると
マスタの叩くレジスタらしい
映画から抜け出る気分で
男たちは時を求め
ポスターの女優めいて
女たちは時を捨てる
ディスプレイの謎解きに
時代の答えが見つかったかい
それより晴れの日の雨傘のように
ここで過ごしてみよう
頼りない思いはそのままに語り
信じることは軽やかに受け止めよう
ぎこちない言葉があるように
やわらかな嘘がある
あなたの隣にいる人は大切な人で
あなたの隣にいない人もまた大切な人
このカフェの噂には
ささやきとほほえみが寄り添う
2011年10月10日月曜日
かふぇえ
この界隈のかふぇえには 怪しげな連中が
出入りしてるって 噂だぜ
棚には 霊験あらたかな経が積まれて
客の方が 品定めされるんだとよ
奥のまかないから 匂ってくるのは
天竺わたりの 抜け荷の香料だとさ
ここの主の 仕掛けそろばんをはじく音
きいたことあるかい 斬首台の物鳴りだぜ
向かいの奴は 幻燈から迷い出たにちげえねえ
なるほど 良い男っぷりじゃねえかい
おっと つれあいの色っぽい女
写し絵の怪だから 口説くのは難儀さ
それとよ おめえの目の前の変化額
閻魔さまの謎かけだから うかつに答えちゃならねえ
まあ それでもよ おいらだって何さ
ただの 唐傘の化けもんだからよお
うかつに 信じちゃなんねえ
長いべろで 嘘をつくなんざ朝飯前だ
けどな ここは存外居心地の良いところさ
おいらのお仲間も いくたりか顔をのぞかせる
あんたの隣の人 だいじょうぶかい
ほんとうに あんたの知った人かい
この界隈のかふぇえには 怪しげな連中が
出入りしてるって 噂だぜ
登録:
投稿 (Atom)