2013年11月8日金曜日

優先座席

世界には哀しいことや辛いことであふれ
厄介ごとや悩ましいことにもきりがない
プリンセスは憂いの心で笑顔を返し
プリンスは静かに拳を固める
敵と味方はリバーシブルで
加害者と被害者は互いに孤独だ
思いが語られ耳を傾ける人がいる
自分の世界ばかりが広がると互いに窮屈だ
ちっぽけな自分でいようと思う
タンポポの黄色とツツジの紅
美しいものたちに少し席を譲 ろう
ちっぽけな自分でいようと思う
空の青と木々の緑美しいものたちに少し席を譲ろう

あなたがそこに居る

あなたがそこに居る
たったひとつのあなたがそこに居る
たったひとつのあなたがいくつも重なりあってそこに居る
呼びかける祈りにたったひとつの あなたが応えている
いくつも重なりあって応えている
波のうねりは多分そのささやきなんだろう
途切れることなく返す波は多分そのなぐさめなんだろう
私はだいじょうぶ私に不安はありません
幸せの残り火がいつだって心にあります

birthday

あなたと出会う前から
その日が来ることを知っていた
あなたが生まれる前から
ずっと待っていたようで
例えば窓の外
雨の風景を眺めながら
待ちわびる時間が長いだけ
なおさらに愛おしく
持ち合わせの言葉を尽くしても
埋めようもないほど待ち尽くして
どれほどそばに居ても
あなたを抱きしめている時でさえ
明日のあなたを待つことが
しあわせな時間なのだ

海竜 第2章 Plesiosaur Ⅱ

あなたが消えたなら
あなたの中の私も消える
それはかまわない
とめようのないことだから
そうやって忘れ去られたものたち
忘れられたことさえ忘れられて
もとめようのないことだから
ここにあることだけが確かなことであって
明日と昨日が同じ重さで
いつか失われるとすれば
ただひたすらにあなたのためにあろう
よろこびの種や涙のわけを
いくつか心に留め置きながら
愛おしさを愛おしさのまま
あなたをだきしめよう
ただひたすらにあなたのためにあろう

鬼はうち

福はうち 鬼はそと鬼も裸で寒からう
福はうち 鬼はそと鬼は追われてどこへ行く
福はうち 鬼はそと鬼は泣いているかしら
福はうち 鬼はそと鬼のおうちはどこかしら
福はうち 鬼はそと鬼は心の中にいて
福はうち 鬼はそと鬼がぎょろりの目を覚ます
福はそと 鬼はうち

2012年6月24日日曜日

Chapter 19




日々のできごとは ありふれて
笑顔のように やわらかで

そのひとつひとつが 紡がれて
ないかたちが ものがたりになる

すてきなできごとが 時折
見開きの挿し絵として 添えられて

例えば ほんの少しの恋心
それと同じ重さの 抱擁の場面

ありがとうの言葉は多分 句読点のように
生きることへの 息継ぎになる

本棚に たてかけて
読み手を待つ ものがたり

これからも程よい 時間があり
語り継がれる ものがたり

2012年6月16日土曜日

しゃぼん


 
小さなひと息で ふたつ みつ よつ
見上げれば空に いつつ むつ ななつ

それとおなじほどの数で
ちいさな声が 私に呼びかける

はい そう応えても
笑顔を返すだけなんだね 君は

小さなひと息で ふたつ みつ よつ
見上げれば空に いつつ むつ ななつ

虹色のしゃぼんが
虹色の声に はじけるようだ

はい 少し語尾を上げても
言葉にならない 会話が続くだけ

小さなひと息で ふたつ みつ よつ
見上げれば空に いつつ むつ ななつ

はい 言葉が同じだけ
空にはじけるのだとしたら

ただ 今はきみのためにあろう
シャボンのように 吹かれていよう